(3)霊園の販売・工事体制

 

 

 鹿児島市の大型霊園では『指定店制度』が効果的に定着しませんでしたが、これは次のような事情によります。

 鹿児島の石材店の利益は前項で見たように関東、関西市場の半分以下しかありません。この中から高率の、例えば15%の工事手数料(冥加金)を支払うと儲けはなく、高い保証金を積んで指定店になるメリットはありません。安い保証金(例えば100万円程度)で指定店制度をとっているところもありますが、この場合、石材店は「二重価格制」をとり、霊園の顧客の墓石価格には冥加金を上乗せします。顧客はこのような上乗せを容易には納得せず、霊園墓地を諦め市営墓地や共同墓地に流れ、墓石を安く建てます。指定店制度は霊園墓地の販売促進には繋がらず、逆に指定店の自社営業促進に利用されることになります。

 鹿児島市内の大型霊園である中央霊園や谷山御所霊園は開園当時は4〜5社の指定店で墓地販売を推進しようとしましたが、指定店は霊園墓地を売る努力より自社営業に主力を置き、霊園が直販する墓地の墓石工事の下請ばかり期待しました。指定店制度による販売はうまくいかず、現在は両霊園とも形の上では指定店としていますが、実態は霊園経営者直営の霊園専従の会社で販売・施工・管理の全てを行っています。

 市内の石材店は何代も続いた老舗石屋タイプ、大型霊園を持つディベロッパータイプ、価格破壊を武器とするオール外注工事の新規参入商社タイプといろいろあります。社員や社長の口頭での説明などや見積書、図面等の書類、磨き上げられた展示品、実際の見本工事は全く当てになりません。実際の施工現場を見ながら

 1.価格(変に安すぎないか)
 2.工事内容(見本と違わないか)
 3.デザイン(簡素で上品か)
 4.現場状況(職人が生き生きして折り目正しいか)

等を自身の目で確かめることが大切です。本物、良いものは素人が見ても、その良さが充分に伝わってくるものです。

 

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