お墓の知識12

閏月・寄り月

 

 九州、特にその南部では『今年はヨリヅキ(ユリヅキ)だから年回りが悪いのでお墓を建ててはいけない。』ということを耳にします。これにはどんな訳があるのでしょうか。

 

【語源】

 現在私たちが使っている暦(太陽暦)で4年に1度、2月が1日多い年を【閏年』ということはご承知の通りです。
 暦と季節とのズレを調整するために一定の期間をおいて月や日や秒を増やしますが、このことを『閏(うるう)』といい、むかし陰暦(月暦)を使っていた日本では1ヶ月が29日か30日だったために33ヶ月に一度1ヶ月増やして1年に同じ月を2度続けて設け、その年を13ヶ月としました。
 この重なった月を『閏月(うるうづき)』と言い、この発音が『ユリヅキ』に変化じたものです。また、同じ月が続けてあるために『月が寄っている』ことから『寄り月』というともいわれています。 

 

【理由】

 昔の武士は年俸制で1年に13ヶ月あるとその年は12ヶ月分の収入で13ヶ月暮らさなければならず、余分にお金がかかったため節約する必要があり、そのため家の新築や婚礼などお金のかかることはできるだけ翌年に延ばす習慣がありました。閏年にはお墓を建ててはいけないという言い伝えのある地方がありますが、これもその名残です。また、月が重なっているので悪いことも重なるといけないということから、死者に結びつくお墓の建立も避けるようになったとも言われています。
 秀吉が築城するとき石垣を積んだ年が閏年に当り、その年は各地の石職人を総動員するために秀吉がお墓を建てることを禁じたためともいわれています。

 

【いつ明けるか】

 ではいつ明けるかということです。現代は太陽暦を使っていますから1月1日が年の変り目ですが、陰暦(月暦)では太陽暦
の節分で年が明けました。
 また「年」ではなく、重なる月の翌月には明けるとする地域もあります。

 

【宗教との関係】

 『閏月』は現実の季節と暦の調整のためにあり、もともと宗教の思想とは全く関係がありません。ですから神道や仏教の教えから来ている考えではありません。

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